人間と同じで、電源装置も定期的な健康診断をしていただくと長く元気に働いてくれます。
入院して徹底的に検査(オーバーホール)する方法として、装置を弊社に持ち帰り 点検・整備して
また、搬入・設置する事も可能です。
最近施工させていただいたオーバーホールの様子で手順を説明します。
1.装置の現状をお客様と確認します。 (可能であれば、加熱出力の状態、各メーター値を記録します)
2.お客様の現場から装置を切り離します。 (一次側の電源、冷却水関係 等)
3.予め、振動に弱い部品などは、取り外します
4.装置をトラックに積み込み、弊社工場へ
5.弊社に保管してある電気図面/機械図面と、現状とを比較しながら解体していきます。
6.そして部品をすべて取り外し、外した部品の洗浄し、状態・電気定数を確認し異常な部品は無いかチェックします。異常の見つかった部品は修理もしくは交換します。部品を取り外したフレームは、水洗い(銅帯を巻いてある部分はバフアップ)をします。ご要望によっては、フレーム・パネル類の再塗装を行う場合もございます(時間的余裕があればですが) 。
7.冷却ホースはすべて交換します。 冷却水を使用している装置の事故の大半が冷却水に関連した事故です。年月の経過したホースは弾力性がなく硬化しており、ホースバンドで締め付けている部分は、ホースバンドの形がついてしまっております。またホースの内壁には水垢やサビが蓄積していき、圧力が上がりホースが破れたり、十分な冷却ができず部品の破損につながります。冷却水に関しては、こちらも参照下さい。
8.各部品の状態を確認しながら、組立てていきます。
9.組立てが完了したところで、一次電源をつなぎ込み、冷却水・非常停止・各メーター回路の警報チェックします。 警報回路のチェックが終わるとSCRの二次側を外しダミー抵抗をつないでサイリスターとコントローラのチェックを行います。問題がなければ、SCRの二次側をメイントランスに戻し、いよいよ高周波出力のチェックを行っていきます。
10.「出力設定以下」アラームの設けてある装置は、設定値を「0」以下にセットし、出力ボリュームをゼロにしてから、「加熱ON 」にします。「陽極電圧計」、「陽極電流計」、「格子電流計」の振れ具合、装置からの音、振動に注意しながら、徐々にボリュームを上げていきます。この時は、全員で眼と耳をすませて、確認します。 ボリュームと共に3つのメーターが、ほぼ同じ角度で振れ始めれば、正常に発振して高周波出力が出ている証拠です。
テストの様子
11.50%くらいの出力まで無事上がれば、一度 ボリュームを下げて、電源を落とし 装置の各部で熱を持って来ている部分、部品が無いかどうかを確認します。 問題がなければ再び電源を入れ、ボリュームを上げていき 100%まで出力が出ることを確認します。 この試験では、ワークの温度が上がり過ぎてしまうこともあるため、常に冷却水で冷やせるようにしておいたり、場合によっては 通水できるワークを作成し、チェックを行うことも有ります。 問題無く加熱できれば、各メーター値、周波数の値などのデーターを記録します。
12.加熱コイルの形状に合わせ、常冷のワークを用意し、長時間の加熱テストを行います。 最初は、約10分程度80%の出力で加熱を行います。 一旦、出力を 止め電源を落とし、各部品やフレーム、パネルなど熱を持ってきている所が無いかチェックします。 問題なければ、約2時間、出力80%で加熱を行い。同様のチェックを行います。問題なければ、搬出のための解体にはいります。
13.持ち帰ってきた時と同じように、振動に弱い部品は取り外し、部品ごとに梱包します。 装置全体も角にはあて布をしたり、ラップで巻いたり傷がつかないようにしてトラックへ積み込みます。
14.搬入、お客様の元へ 搬入します。 元にあった場所へ運び込み、外してあった部品を取付ます。 一次側のつなぎ込みが終わったら、 SCRの二次側を外しダミー抵抗をつないでサイリスターとコントローラのチェックを行います。問題がなければ、SCRの二次側をメイントランスに戻し、実際にワークをセットして 加熱テストへ移ります。 この時は、現場の方にも一緒に見て頂き、平常状態と異なる所が無いかをチェックします。
15.加熱の状態に問題がなければ、お客様の条件にあったテスト(焼入れなら 硬度の測定やエッチングパターンのチェック)をして頂きます。 それも問題なければ、作業完了です。
16.後日となってしまいますが、オーバーホールの作業報告書を提出させていただきます。
御社の装置もいかがでしょうか?
まずは、お見積りさせていただきますので、お気軽にご連絡ください。